久保書店

概説

1953年(昭和28)年4月1日久保藤吉により設立された出版社。久保藤吉はそれ以前から、大元社を経営していた模様。高橋鐵と関係の深いあまとりあ社と同一会社と考えて良い。中田雅久、須磨利之、濡木痴夢男、椋陽児、浦戸宏などの編集者が在籍し、『かっぱ』『裏窓』『耽奇小説』などの雑誌や、他のSM歴史上重要な書籍を発行している。

歴史

1946年(昭和21年)、久保藤吉の大元社から式場隆三郎『夜想』が出版。

1949年(昭和24年)頃、式場隆三郎の紹介で久保藤吉は高橋鐵を知る。

1949年(昭和24年)、あまとりあ社から高橋鐵『あるす・あまとりあ』を発行。大ヒットとなる。

1951年(昭和26年)2月1日、久保藤吉が編集・発行人であまとりあ創刊。発行所はあまとりあ社とある。

1953年(昭和28)年4月1日、株式会社久保書店が久保藤吉により設立。続いて、4月10日は株式会社あまとりあ社創立。あまとりあの実質上の編集室は高橋鐵宅。

1955年(昭和30年)、須磨利之が入社。

1955年(昭和30年)6月、少なくともこの時点であまとりあの編集人が中田雅久となっている。

1955年(昭和30年)8月、あまとりあ廃刊。終刊号の編集に須磨利之が関わっている。

1956年(昭和31年)1月、久保藤吉によりかっぱが創刊。編集人はやがて須磨利之に。

1956年(昭和31年)10月、かっぱが裏窓へと誌名変更。編集人は須磨利之。

1958年(昭和33年)8月、マンハントが中田雅久編集人で発行。

1961年(昭和36年)、裏窓1962年(昭和37年))1月号から須磨利之の後を継いで濡木痴夢男が編集長。

1961年(昭和36年)8月、浦戸宏が入社。

1962年(昭和37年)、この頃、須磨利之は少女雑誌『叙情文芸』『灯』の編集。

1963年(昭和38年)、椋陽児が裏窓編集部に入る。

1963年(昭和38年)、少なくともこの頃の形式上の社長は山田忠雄だったようだ。

1964年(昭和39年)、『マンハント』1月号で廃刊。この頃中田雅久はあまとりあ社を退社。河出書房新社に移る。

1965年(昭和40年)頃、浦戸宏は退社し個人出版社『白竜社』を設立。

1970年(昭和45年)、須磨利之と濡木痴夢男は退社して虻プロを設立。

1981年(昭和56年)1月、SMコマンド創刊。

2011年(平成23年)時点での代表取締役社長は久保直樹。

所在地

• 東京都中野区松が丘2−21
• 東京都中野区江古田1-2302
• 東京都中野区松ヶ丘2-21-14

代表的な雑誌・書籍

雑誌

• 『あまとりあ』
• 『かっぱ』
• 『裏窓』
• 『耽奇小説』
• 『SMコマンド』

書籍

• 高橋鐵『あるす・あまとりあ』(あまとりあ社, 1949)
• 高橋鐵『続あるす・あまとりあ』(あまとりあ社, 1950)
• 武野藤介『小説あまとりあ』(あまとりあ社, 1951)
• 高橋鐵『あるす・あまとりあ 秘蔵版』(あまとりあ社, 1953)
• 武野藤介『続小説あまとりあ』(あまとりあ社, 1953)
• 武野藤介『風流月旦 うわき随筆選』(あまとりあ社, 1955)(装幀：須磨利之、カット：秋保正三)
• 高橋鐵『新・あるす・あまとりあ』(あまとりあ社, 1955)
• 鈴江淳也『実戦誘惑術 あなただけに教えます』(あまとりあ社, 1956)
• 武野藤介『武野藤介風流随筆選』(あまとりあ社, 1959)
• 飯田豊吉『地獄の乳房』(あまとりあ社, 1959?)(装幀：喜多玲子)
• 島本春雄『忍び夜秘帖』(あまとりあ社, 1959?)(装幀：喜多玲子)
• 高月大三『女犯経秘図』(あまとりあ社, 1959?)(装幀：喜多玲子)
• 狩久『妖しい花粉』(あまとりあ社, 1959?)(装幀：古正英生)
• 押鐘篤『実用セックス講座3 女体のメカニズム』(あまとりあ社, 1959)(装丁：江淵晃夫・久保藤吉)
• R. L. ディッキンソン『人体性解剖学図説』(久保書店, 1961?)
• 美濃村晃『スクリーン・エロティシズム2』(久保書店, 1962.12.20)
• 美濃村晃『スクリーン・エロティシズム3』(久保書店, 1965.3.5)
• 臼井綱夫『色彩版　図で見る性生活入門』(あまとりあ社, 1972)

エピソード

• 社長の久保藤吉は印刷業出身。
• 前身は大元社で、舟橋聖一の『横になった令嬢』などの文芸書を出版していた。

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